契約書の英語

第2回:契約書の英語(2)

契約書を翻訳するためには、基本用語の意味と訳語を理解するというのは第一歩にすぎません。こうした基本的な契約書用語について(英語と日本語について)、どのように使用されるかを理解し習得することが必要です。おそらく、契約書の翻訳入門としては、これが最も時間と労力のかかる過程だと思います。

licenseという英単語を考えてみましょう。
手元にある「契約書・法律用語 英和辞典」(菊池義明、IBCパブリッシング)では、license の訳語としては次のように記載されています。
名詞としては:
許可、認可、許諾、実施許諾、商標やソフトウェアなどの使用許諾、免許、特許、許可書、免許状、不動産の立ち入り権、実施権、使用権、鉱業権、ライセンスなどをあげています。
動詞としては:免許「認可、許可、特許」を与える、許諾する、実施許諾する、使用許諾する、許可する、ライセンス供与する、等の訳語を与えています。
その後、ほぼ5ページわたり、関連用語(business license、export license、license agreement 等)と用例 (acquire a license、the amount of license fees and roylaties payable under this letter等)が続きます。

ここに、「英文契約書(条項文例集)」(すばる舎、千代田有子)という英文契約書を翻訳するための教科書があります。この本では、契約書を翻訳する際に必要な1060のキーワードについて解説と例文をあげています。まず、このような英文契約書を翻訳するための教科書を使って勉強しましょう。さらに、契約書の翻訳を志す人は、教科書の勉強に併せて、英文契約書に特有の用語について英米法辞典、英語版法律辞典(Garner’s Dictionary of Legal Usage – Thomas M. Reavley等)、英語法律用語の解説辞典(「法律英語用語辞典」(自由国民社、尾崎哲夫);「英米法律語辞典」 (研究者、小山 貞夫)等)で法律的な意味を英語と日本語の両方で理解することが必要です。加えて、契約書英語の翻訳能力を高めるために関連する動詞、形容詞、前置詞、熟語などを根気よく覚えるようにしましょう。

翻訳という作業では、慣れということも非常に重要な要素です。契約書の翻訳を目指すなら、毎日、英文の契約書を読んでください。難しい用語も慣れてしまえばそれほど違和感を感じることもありません。また、契約書特有の長い文も、ある一定の規則に基づいて書かれている場合が多いので、同じような文章を繰り返し読んでいれば恐れることはありません。実際に業務として様々な契約書を扱っているビジネスマンを除けば、多くの人にとって英文契約書を読む機会は少ないと思います。廉価で携帯に便利、かつ、内容が充実しているという点で、「英文契約書の読み方」(日経文庫、山本孝夫)と「英文契約書の書き方」(日経文庫、山本孝夫)を推奨します。これらの契約書英文を丸暗記しましょう。

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