第4回:翻訳に役立つ参考書(4)
英語の決め手 数量表現 (富井 篤著) インタープレス
技術翻訳ではビジネスや文化、文学の翻訳と比較して数量表現が多くなりますが、数量を英語で的確に表現することは多くの日本人にとって不得手といえます。数字 、数量を比較したり、以上、以下、平均、四捨五入などを英語で正確に表現するのは非常に難しい作業です。加えて、技術分野では様々な物理量を表現することが求められます。速度、密度、面積、容積、半径、 精度、直径など、「数学が苦手で語学を仕事にしているのに、またまた数学 に悩まされるのか」という翻訳者の愚痴が聞こえてきそうです。こうした物理量の表現も慣れていないとお手上げです。
倍率の比較表現を例にとると、「AはBのX倍」は英語ではどのように表現するのでしょうか。
重さであれば:
The weight of A is three times that of B.
A is three times B in weight.
A is three times heavier than B.
A is three times as heavy as B.
など、times, as ** as, than,あるいはその組み合わせなどが考えられます。
これに具体的な数値が加わると、
The combustion pressures are usually 3.5 to 5 times the compression pressures.
などとなります。
さらに、「2倍以上」や、「3倍以下」、「4倍程度」、「20倍溶けやすい」など、「30倍光量が増加する」など、複雑な表現が要求されます。
本書はこうした英語の数量表現について、膨大な例を収録しており、技術翻訳に欠かせない1冊です。
「英語の決め手 数量表現」の初版は1980年に発行されています。本書を使用すれば数字、数量をどのように英語で表現するのかが体系的に理解できます。表現辞書として使用する のもよいでしょうし、技術翻訳のテキストとしてじっくり勉強する のにも適しています。現在では、「技術英語数量表現辞典」として販売されています。
技術英語では、技術論文の翻訳をする場合に数学や数式に関する表現を理解しておくことが必要になります。
そのような場合には、「基礎からわかる 数・数式と図形の英語」(銀林浩・銀林純)が役立ちます。