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第10回:翻訳に役立つ参考書(10)

アメリカ人語 微妙な、ほんとうに微妙な英語感覚 1, 2, 3 (ジャン・マケーレブ、岩垣守彦共著)読売新聞社

英語学習者は、学校で英語の基本的な知識を習得します。ここで基本的とは、微妙なニュアンスの差異は教えないということです。
では、本書ではどのような知識が得られるのでしょうか。文法項目の一つに未来進行形というのがありますが、『アメリカ人語』では次のような文例を挙げて微妙なニュアンスを教えてくれます。

① We will be flying at an altitude of 18,000 meters.
(訳:高度18,000メートルで飛行します)
「補足説明:この便はいつも18,000メートルで飛ぶことになっているので、当然その高度で飛ぶことになる」
② We will fly at an altitude of 18,000 meters
(訳:高度18,000メートルで飛行します)
「補足説明:今、18,000メートルで飛ぶことにしました」
③ We are flying at an altitude of 18,000 meters.
(訳: (今現在)18,000 メートルで飛んでいる)
④ We are flying at an altitude of 18,000 meters today.
(訳:今日18,000 メートルで飛ぶことになった)
[補足説明:当局の決定により、今日18,000 メートルで飛ぶことになった」
⑤ We are going to fly at an altitude of 18,000 meters.
(訳:今日18,000 メートルで飛ぶことになった)
ただし、⑤の場合には会社の決定かパイロット自身の決定かは定かではない。 (『アメリカ人語3  第5章 p73-』)

さて、読者は上記5つの違いを正確に説明し、場面に応じて適切に使い分けができるでしょうか。文法用語を使って、通り一辺の説明はできるかもしれませんが、具体的な場面での使い分けはなかなか難しいのではないでしょうか。
友人や知人同士の日常会話レベルでは、このような使い分けができなくても咎める英米人の友人は皆無でしょう(親切心から助言をしてくれる人はいる可能性はありますが)。しかし、翻訳の現場では、小さな表現上のニュアンスの違いが大きなビジネス上のトラブルに繋がる可能性があります。プロの翻訳者を目指すなら、英和翻訳であれ、和英翻訳であれ、こうした英語と日本語のニュアンスの違いを理解しておくことは非常に重要です。

ここでは未来形進行形についての例をあげましたが、本書では、日本人の英語学習者が気づきにくい、単語レベル、文法レベルにおける英語と日本語との微妙な差異を、豊富な具体例を挙げて丁寧に説明しています。本書を読み、日常、大して気にもかけず口にする英語表現、何気なく書いている英文は、英米人に対して、話者や書き手が意図する正しいニュアンスで伝わっているのかを検証してみることをお勧めします。

『アメリカ人語』の著者らは、『英和イディオム完全対訳辞典』(朝日出版)という優れた辞典も出版しておりそちらも参考にしてください。

翻訳あれこれ 第10回:アメリカ人語 微妙な、ほんとうに微妙な英語感覚
「翻訳会社ジェイビット」